FXトレードで「マルチタイムフレーム分析」の手法が有効です。
この手法の基本的なやり方としては、
複数時間足チャートのトレンド状況を判断したうえで
長期足のトレンド方向に
執行時間軸チャートでトレードしていくのが主なトレード手法だと言えます。
マルチタイムフレーム分析は、「環境認識・相場分析」の部分となります。
長期足チャートで相場のトレンドを確認して、
短期足チャートでタイミングとって損切りリスクを小さくしてエントリーしていく、
というのが基本的なマルチタイムフレームでのトレードのやり方です。
複数時間足のチャートを確認して相場の環境認識をしていき、
相場状況を大きな流れで認識するのにマルチタイムフレーム分析は重要な手法です。
長期足のトレンド状況やレジサポラインを認識しておくことで、
トレード執行時間軸のより短期足チャートでも迷いがなくなります。
長期足チャートで認識したレジスタンスサポートラインでの
価格のプライスアクション・チャートパターンを見ていき、
長期足のトレンド方向にむけてタイミング取ってトレードすればいいからです。
マルチタイムフレーム分析は、
多くのベテラントレーダーが採用している相場分析手法になります。
マルチタイムフレーム分析とは?
マルチタイムフレーム分析(Multi time frame・略してMTFと記されることも)とは、
複数時間足チャートを同時に使用して相場状況を分析していく環境認識手法となります。
トレードを執行する時間足チャートよりも、
長期足の相場状況を認識したうえでトレードしていくやり方といえます。
以下は、マルチタイムフレーム分析を用いたトレード方針の例です。(画像クリックで拡大できます)
上記のチャート画面左側がドル円の1時間足、画面右側がドル円の日足になります。
上記のチャートから、以下のようなトレード戦略が考えられます。(一例です)
- ドル円の日足チャート見るに、全体的にダウントレンドからの調整上げ戻しが入った
- ドル円日足チャート直近で、大陰線での包み足(エンゴルフィンバー)で下落
- 日足でダウントレンド・直近で包み足出現で、下位時間軸チャートで売りトレード狙いできる相場状況
- 1時間足チャートで、短期上昇戻しからのインサイドバー陰線出現で、売りエントリー狙い
(損切りストップ位置は、直近高値の少し上。ターゲットは直近安値のあたり狙い)
上記のトレード例からは、1時間足チャートのみを見ていると、
上昇トレンドからのWトップつけての下抜け短期下降からの、反発上昇と判断もできます。
なので、短期で買いを狙っていく判断もできなくない状況とも言えます。
日足チャートでの長期的なダウントレンドを確認していれば、
長期足のダウントレンド方向への売り狙いの方がより価格が伸びやすいと判断できるわけです。
マルチタイムフレーム分析は、トレードにおいて相場の環境認識の精度をより向上させるために必須な手法と言えます。
FXでのマルチタイムフレーム分析やり方手順
FXトレードにおいてのマルチタイムフレーム分析のやり方手順を解説していきます。
(トレーダーによって様々なやり方考え方があるので、あくまで一例として解説していきます。)
基本的には、長期足チャートでダウ理論に従ってトレンド方向を認識し、
トレード執行時間軸の短期足チャートで、
できるだけ損切りになった場合のリスクが小さくなるようにタイミングを取って、
レジスタンスサポートラインを意識されて形成された
チャートパターン・プライスアクションのサイン等でトレードしていきます。
(エントリーサインが出現してからトレードしていきます)
こちらのマルチタイムフレーム分析例では、
30分足チャートをトレード執行軸チャートとして解説します。
- 日足チャートでレジサポラインを引き、トレンド方向を確認
- 4時間足チャート、1時間足チャートでもレジサポライン引いてトレンド確認
- 30分足チャートでトレード
- 更にタイミング取るためにより短い時間足で確認も
週足チャートも確認しておくとベターです。
明確にダウントレンドで107.30あたりのサポートをした抜いて下降後、
プルバック上昇するも107.80あたりのレジスタンスで力尽きて包み足陰線で下落。
ダウントレンド継続中と相場状況を判断できます。
売りトレードを検討できるチャート状況です。
日足・4時間・1時間足チャートのトレンドを見てエントリー方向を決定します。
この時点でトレンド状況が時間軸ごとにバラバラだったり、
ボラティリティが少なかったり、明かなレンジ相場に突入していたりしたらトレードを控えて様子見します。
Wトップをつけて下落し、プルバック上昇で陽線2本つけるも、
上ヒゲのピンバー気味になって下落した状況から、
直近は陽線で戻してレンジ気味になっている相場状況と見れます。
安値更新をした後のプルバック上昇陽線なので、
まだ引き続き売り狙いでイケる相場状況と判断できます。
トレード執行時間軸の30分足チャートで、レジサポラインが意識されての
チャートパターン・プライスアクション等を見てトレードしていきます。
(実践しているトレードロジック通りにトレードするのがおすすめです)
基本的に、レジサポラインを意識して形成されたチャートパターン・プライスアクションでトレードします。
(レジサポラインが無いところでのサインは、方向性の信憑性が薄れやすいです)
日足・4時間足がダウントレンドなので、売り狙いでチャート監視していきます。
上昇していくも、インサイドバーつけて下落。
大陽線つけた段階で上昇できずと判断して売りエントリー。
(ストップは直近高値の上、リミットは直近安値のロウソク足実体あたり)
長期足のダウントレンドには逆らえず、少しプルバック上昇するも、
揉んだのちに下落してリミットに刺さっています。
より短期足チャートとなる15分足・5分足チャートも見ていきながら、
より小さいストップ幅(損切り幅)でエントリーできるようにしていきます。
30分足チャートでのロウソク足確定を待たず、
リスク先行で5分足等の短期足でタイミング取ってエントリーするのもありです。
短期足チャートでエントリーする場合は、
長期足チャートのロウソク足確定後にエントリーするよりも、
相場が反転するリスク等は大きくなります。
売り狙いで相場状況を監視していて、
レンジを下抜けしたところで売りエントリーが可能です。
(MACDもダイバージェンスをつけています)
30分足チャートのロウソク足確定を待ってトレードするよりも、
損切り幅もリミットまでの距離も有利にトレードできます。
ただ、短期足チャートで早めにエントリーしていくことは、
明確な長期足チャートでのロウソク足確定よりも早くエントリーするので、
相場が反転して損切りリスクも高くなる部分もあります。
今回のマルチタイムフレーム分析例では、
日足・4時間足・30分足・5分足と使いましたが、
これ以外での時間軸チャートでも当然応用できます。
長期足のトレンド状況・相場分析を認識した上で、
短期足チャートでタイミングを計ってトレードしていくのが
マルチタイムフレーム分析の基本となります。
ダウ理論でのトレンド判断
マルチタイムフレーム分析をしていく上で重要なのが、ダウ理論の認識です。
トレンド状況の判断は、ダウ理論に従ってやっていきます。
短期足チャートでは下落してるけど長期足チャートの節目となる安値を切っていない。
こういった相場状況の時に、
どこで買いで入っていくかマルチタイムフレーム分析で見ていきます。
ダウ理論によるトレンドは、小さい時間軸チャートから崩れていきます。
なんですが、
長期足のトレンド方向に従っていくことが多いのを
複数時間軸チャートを分析することで認識してトレードしていきます。
長期足チャートのトレンドとレジサポを意識する
長期足チャートで引けるレジスタンス・サポートラインは、
短期足チャートでも当然強く意識されます。
これは水平線ラインでも、トレンドラインでも、移動平均線でも同様です。
長期足のレジサポラインを意識されて作られたチャートパターン・プライスアクションは、
狙っているトレンド方向に向けて形成されたトレードチャンスです。
より長期足のレジサポラインを見ていくことで、精度の高いトレードが可能になります。
マルチタイムフレーム分析をシンプルに考える
マルチタイムフレーム分析は、考えすぎるとどんどん迷宮入りします。
できるだけシンプルに捉えてトレードに活用します。
以下が基本的なマルチタイムフレーム分析の考え方です。
- 長期足(週足・日足・4時間足・など):利幅を伸ばす、サポレジとトレンドの確認
- 基準足(4時間足・1時間足・など):トレード手法に沿ってエントリー
- 短期足(1時間足・30分足・15分足・など):トレードタイミングをより有利に
「環境認識」を長期足で行い、大枠でのトレードタイミングを計ります。
エントリー後の利幅を伸ばすのに使います。
基本となるメイン時間足では、本来この時間足のみでトレード完結可能です。
トレード手法・ロジックに沿ってトレードしていきます。
エントリータイミングを早めたり、損切り位置をよりタイトにするのに用います。
ダマシリスクも高まるので、トレードスキルは求められます。
考えすぎると混乱するリスク
マルチタイムフレーム分析による環境認識・相場分析は、
あんまりやりすぎると頭が混乱していくリスクがあります。
(僕自身、頭がこんがらがってのスランプ時期が長かった。)
あくまで基本は、単一時間足でのトレードです。
(トレードチャンスは、時間足ごとに存在していきます。)
初心者時期は、
まずは単一のメインの時間足でトレードして
勝つ手法・ロジックを理解して検証して実践していくのがわかりやすいです。
以下の手順がわかりやすいです。
- メインの時間足のみでトレードしていく
- メイン時間足よりも長期足で環境認識して精度アップ
- メイン時間足よりも短期足に落としてエントリーを早くする
単一時間足でトレード手法決めて検証して、トレードしていきます。
(おすすめは1時間足・4時間足)
(週足・日足の分析など)
長期足の環境認識・相場分析を加えて、トレードで狙う利幅の精度を上げます。
また、長期足を見てトレンド全体を把握することで、
トレンド転換時期を想定して勝率下がるエントリーを避けていきます。
トレード手法・ロジックのタイミングで、短期足に落としてエントリーを早く判断可能です。
ただ、
重要な高値・安値を抜けることが大事なので、その部分を忘れずに。
(エントリー早くすることのリスクもある)
マルチタイムフレーム分析手法のまとめ
以下、マルチタイムフレーム分析の要点まとめです。
- 執行時間足チャートよりも長期足のトレンド方向にトレードを検討する
- 長期足チャートのレジスタンス・サポートラインを意識する
- 長期足チャートで形成されているチャートパターン・プライスアクションを意識する
メインでチャート監視している時間足よりも、
長期足のチャート形状及びトレンド状況を重視していくのがポイントとなります。
トレードロジック通りにトレードしていく
マルチタイムフレーム分析でトレードしていく中でも、
実践しているトレードロジック(ルール)通りにトレードしていくのが基本です。
相場分析した上に、
トレードロジック(ルール)を乗っけていきます。
相場分析力だけでトレードして利益を出して行くことも可能だとは思いますが、
人間にある「精神(メンタル)」的な部分で負担が大きいです。
なので、
安定してトレードしていく為にトレードロジック(ルール)通りトレードしていきます。
参照:FXにおけるメンタル管理とトレードルールを守る【超重要】
マルチタイムフレーム分析をして相場状況の環境認識ができると、
トレードロジックによりトレードする方向も明確になり、
トレード精度が飛躍的に向上します。
マルチタイムフレーム分析が難しければ、
まずは単一時間足チャートでのトレードロジックの実践をまず習得します。
その後に、より精度の高い相場分析・環境認識をしていく手法として
マルチタイムフレーム分析を取り入れていくのがおすすめの手順です。
コメント
ナオトさん、こりゃ有料級記事ですよ。いつも素晴らしい記事をありがとうございます。勉強させてもらいます。
トクダさん、ご丁寧にありがとうございます!
引き続き少しでも参考になれるように、やっていきますね。
ナオトさん、こんばんは!
私は、常に利確幅と損切り幅を一定のPipsに決めてトレードしていますが、現在の相場状況に応じて、損切りpipsを決めて、特にPCから離れることがなければ、利確は成行でトレードした方が良いのでしょうか?
ハシモさん、コメントありがとうございます。
ハシモさんのトレード状況がわからないので、なんとなんとも具体的な意見がお伝えしにくいのではありますが、
現状のやり方でうまくいっているのであれば、そのまま躓くまでやっていかれた方がいいと思いますよ。
躓かれたら、やり方を変えていかれる方がいいような気がします。
損切りと利益確定を固定PIPSで考えるのは、基本的には相場状況からの根拠からは薄いような気がします。
なんですが、
トレードする時間帯や時間足チャート、相場状況にあわせてそのやり方が現状でうまくいっているのであれば、それはそれでいいかと思います。
お時間ある時に、当ブログの記事を見てもらえると、色々とご理解いただけると思います!
https://fxxy.org/startup
素晴らしい記事でした。今まで買った高い金額のFX塾よりも、一番わかりやすくて濃い内容でした。今後も期待しています。
橋本さん、ご丁寧にありがとうございます!
励みにして、また記事更新していきますね。
とても勉強になりました。マルチタイムフレームは重要なのがよくわかりました。どれくらい勉強したらこれくらいになれるかわかりませんが、なんとか頑張っていきたいと思います。
TOSHIMAさん、コメントありがとうございます!
今は以前と違ってFXの教材も多数ありますので、ふに落ちるのは早いと思いますよ!
頑張って進めていかれてください!
一か月ほど前からFXを初めてメルマガyoutube当サイトで勉強させてもらってます
記事とは関係ない質問になってしまうのですがラウンドナンバーについてお聞きしたいことがあります
一つの通貨ペアでラウンドナンバーで反転した場合他の通貨への影響など出るのでしょうか?
お手数ですがお答えいただけたら幸いです
がびょうさん、コメントありがとうございます。
ラウンドナンバーでのチャートの反応に関してですが、
どれくらいの感じでチャートで反応したかにもよると思うんですが、
(時間足・チャートパターン・プライスアクション等で、どのくらいのレベルでの話かにも)
相関性がある通貨ペア同士であれば、一方の影響をもう一方も当然受けると思います。
ただ、その時点での通貨の強弱にもだいぶ影響されると思うので、
ある通貨ペアがラウンドナンバーで反応して反転したけど、
もう一方の相関性ある通貨ペアは、ちょっと抜けてから反転して戻った、みたいな感じになったりもすると思います。
通貨ペアの相関性に関しては、以下の記事で解説してますのでよければ!
https://fxxy.org/2695.html
目からうろこの記事でした。
ナオトさんのFXスクール開校を期待しています。余裕がございましたら是非お願いします。
佐藤さん、コメントありがとうございます!
FXスクール等は予定はないのですが、もしご縁がございましたら宜しくお願いします(笑)
動画が素晴らしかったです。すごくわかりやすい解説で、今まで見たどんな教材よりもよかったです。マルチタイム分析を使っていける気持ちになりました。ありがとうございます。
中年トレーダーさん、コメントありがとうございます!
この動画と記事はなかなか伝わりやすかったみたいでよかったです!
今後とも宜しくお願いいたします。
ナオト様。
多くの資料で学習させていただいております。ありがとうございます。長期足から、短期足、までは知っていましたが、さらには、ピンアクションまで見るというのは、またまた新鮮でした。これは、さらに入場根拠を増強させてくれますね。酒田五法は風林火山なんて本が手元にありますが、ナオトさんの資料にあるでしょうから、探させていただきます。
ankennyさん、コメントありがとうございます!
FXは学習することすごく多くて大変あdと思いますが、マイペースで頑張っていかれてください!
ちょうどマルチタイムフレームの勉強をしようと思ったらメルマガで案内されてました。ナオトさんのブログとYoutubeで勉強しているおかげで少しずつ理解できてきました(まだまだミリ単位の理解です)これからもよろしくお願いします。
田原さん、コメントありがとうございます!
マルチタイムフレーム分析は、まずは長期足のトレンド方向を確認して、レジサポ見て、それを意識して短期足でトレードしていく、くらいの感じからでも充分トレード精度が上がると思います。
シンプルに陽線もしくは陰線が続いてるかどうかを見るくらいでもいいと思います。
無理なくちょっとずつ学習していかれてください!
どこかのタイミングで、ふっといろいろな事柄が頭の中で繋がると思いますので!
こんにちは。
ずうずうしいかもしれませんが、質問いいでしょうか。
日足や4時間などで下落中の調整上げの最中は、ダウ理論的にはまだ下降トレンド継続中だと思うのですが、五分足でも売り目線でいいのでしょうか?
またはトレードは避けるべきでしょうか。
岡部さん、コメントありがとうございます!
どんどんコメントで質問いただけると嬉しいです(笑)
日足や4時間足チャート上でダウントレンドだとして、その状況での調整戻し上げの相場では、
日足、4時間足でトレードしている場合は、順張りトレンドフォローだと売りを狙っていくのがセオリーとなります。
ただ、日足4時間の調整戻し上げの状況で、短期足でアップトレンドに転換している場面だとしたら、
その短期足チャート上では買いでのトレンドフォロー(短期足でのトレンドフォロー)でトレードしていってもいいかと思います。
自分がどの時間足のトレンドを基にトレードしていくか、
相場のどこに節目となる重要な価格ラインがあるか、
また、自分が見てる時間足でのアップトレンドは、どこの価格までが上昇メドとなりそうか、
そういった部分を長期足から落として分析していきながら、自分がトレードする時間足でトレードシナリオを決定して、
トレードのタイミングがきたら、
自分が実践しているトレードロジック(ルール)通りにトレードしていくのが良いと思います。
これで伝わりますかね?
5分足でトレードする場合でも、日足・4時間足のトレンド方向のみに狙っていくとより確実だとは思います。
ただ、5分足チャート上でのトレンドを短期で取って行くのもアリではある、と思います。
トレーダーそれぞれのスタイル次第と言ったところだと思います!
丁寧な説明ありがとうございます。
よく分かりました。
今度はラインの引き方の勉強します。