FXトレードでは価格の動きをチャートを使用して見ていきます。
そのチャートを見ていく中で、価格の動きそのものを表すロウソク足や、
ラインチャート、バーチャート、もしくは連行チャート等の他に、
値動きの直近の傾向をある基準により示す「テクニカルインジケーター」を表示させて
トレードの参考とすることが有効とされています。
テクニカルインジケーターの中でも、
直近価格の値動き平均値を算出して表示させる「移動平均線」(Moving Average)は、
世界中のトレーダーに最も注目されているテクニカルインジケーターと言えます。
FXトレードを知ったばかりのビギナートレーダーも、
最初に知るテクニカルインジケーターはおそらく移動平均線と予測されます。
多くのトレーダーが注目しているテクニカルは、
それだけ相場への影響力が大きいと言える根拠になります。
移動平均線は世界中のトレーダーに使用されている影響力大のテクニカルです。
ベテランの熟練FXトレーダーの中には、
テクニカルでは移動平均線のみを使用する方もおられるくらいです。
移動平均線の見方と有効活用方法を学ぶことは、
FXトレードでかなり効果を発揮する部分になると言えます。
- 価格と移動平均線が絡まると、どこかで離れていく傾向(レンジからのブレイク)
- 価格と移動平均線の乖離が広くなると、距離を近くに戻しやすい(トレンドからの押し戻し)
- 角度が急な移動平均線は価格に意識されやすい(トレンド継続)
FXトレードでの移動平均線の設定方法と使い方を解説していきます。
移動平均線(Moving Average)とは?概要と種類
FXにおいての移動平均線は、チャート上で価格の平均値を曲線グラフ状にしたもので、
英語では「Moving Average」と表示されるので「MA」と略されて呼ばれたりもします。
また、移動平均線の種類は複数のものがあり、主に使用されるものとして、
「単純移動平均線(SMA)」と「指数平滑移動平均線(EMA)」と「加重移動平均線(WMA)」の3種類が主としてあります。
- 単純移動平均線(「Simple Moving Average」→「SMA」)
- 指数平滑移動平均線(「Exponential Moving Average」→「EMA」)
- 加重移動平均線(「Weighted Moving Average」→「WMA」)
単純移動平均線は、指定した期間の価格(通常は終値を使用)の平均値を現した線
最もポピュラーで多くのトレーダーに採用されているMAの形式です。
指数平滑移動平均線(EMA)は、単純移動平均線から更に直近の値動きを重視した線です。
過去の価格よりも直近の価格をより重視して平均線を算出します。
直近の終値を数値上2倍にして重視し、それより前の価格になるごとに一定数値を掛けて算出することで、
EMAの動きをSMAより早めに価格に追随させる特徴があります。
直近の価格に近いものほど重要度を大きくし、一定期間(n日)平均した線。
直近の価格から3倍、2倍、1倍と加重し、6(=1+2+3)で割ることで、最新の価格の動きを重視した線。
当ブログ管理人が使用している移動平均線は、SMAとEMAになります。
以下は単純移動平均線の20SMA、50SMA、100SMAを表示させているチャートです。
移動平均線をチャートに表示させることで、
価格の値動き状況やボラティリティ(値動きの上下幅)を視覚化することができます。
移動平均線は価格の値動き状況を測るだけでなく、
「その移動平均線の値が値動きに直接影響する」こともあります。
(ようは、「レジスタンス・サポートゾーンとして機能する」ということです。)
以下のチャート画像赤枠部分は、移動平均線の値を価格が意識して動いているのがわかります。
(画像をクリックで拡大できます)
上記チャート画像赤丸部分では、移動平均線の値を価格が意識して、
一時的に反発したり跳ね返されたりする値動きをしているのがわかります。
移動平均線の値は特にトレンド発生時に意識されることが多いです。
特に移動平均線の傾斜が急の状態(右肩上がり、右肩下がり)だとトレンド状態と判断しやすく、
角度が急なほどトレンド発生状況が強いと言えます。
ほぼ横向きの移動平均線状態だと、価格はレンジ状況を作ることが多く、
特に21MA移動平均線が横向きの状態だと、価格が21MAに寄り添っていきやすい傾向があります。
(13MAや21MAのような短期移動平均線だと、価格と重なり合う相場も多くなります。)
また、価格と移動平均線が離れて乖離が大きい状態になると、
価格は移動平均線に向けて近寄っていく習性があります。
以下の画像赤マル部分は、移動平均線と価格の関係を表しています。
(画像はクリックで拡大できます)
上記チャート画像は、レンジ状態を価格が下抜けして再びレンジ状態になった状況です。
(移動平均線は21MAを表示させています)
上記のチャート画像では、21MAと価格の変動は以下のような状況と言えます。
- 21MAが緩やかな右肩下がりの状況で、価格は21MAの真下あたりを推移
- 価格が一旦上昇し振りかぶって下降、21MAも急下降する
- 価格の下落が進み、21MAと価格の乖離が大きくなる
- 価格の下降スピードが緩やかになり、再度21MAに近づき接触
- 21MAに価格が上昇を阻まれて横ばいレンジ状態
価格に一度意識された移動平均線は、
2度3度と複数回意識されて価格が反発することが多い傾向にあります。
移動平均線の特徴をまとめると、以下の事柄が言えると言えます。
- MAは角度が急なほど(トレンドが強い状況)意識されやすい
- レンジ相場では、価格はMAに寄り添いやすい傾向がある
- MAの角度が急になると、価格とMAの距離は乖離しやすい
- 価格とMAの距離が大きく乖離すると、再び近寄っていきやすい
- 価格に一度意識されたMAは、しばらくは再び意識されやすい(レジサポとして機能)
こういった特徴が移動平均線にはあると言えます。
また、移動平均線は様々なテクニカルインジケーターの基礎部分になることが多いです。
(ボリンジャーバンドのミドルラインや、一目均衡表など)
見た目もわかりやすくシンプルなテクニカルインジケーター出ある移動平均線は、
様々なチャート分析の土台部分として使用されることが多く、
FXトレーダーであればマスターしておくべきテクニカルと言えるでしょう。
MT4での移動平均線(Moving Average)設定方法
移動平均線(MA)は、殆どのチャートソフトに導入されている状況です。
今回はMeta Trader4(MT4)での移動平均線設定を簡単に解説します。
以下、MT4での移動平均線(MA)設定方法手順を簡単に解説します。
(画像はクリックで拡大できます)
- MT4の「挿入」部分よりMAを選択します
- 「Moving Average」設定画面で数値を指定
- 期間:平均値を算出するロウソク足本数を指定
- 移動平均の種別:SMAかEMAかその他の種類か
- 適用価格:平均値を算出するロウソク足のどの価格を適用するか
- スタイル:MAの色や太さを指定
- MAを表示させる時間軸を指定もできます。
- 「OK」をクリックしてMAを表示
- 複数のMAを表示させる場合は、上記の流れを繰り返していく
上記画像赤枠部分「挿入」→「インディケーター」→「トレンド」→「Moving Average」と選択
主に使用するのは以下の部分になります。
(基本は終値(Close))
上記赤枠部分の設定で、指定の時間軸だけにMAを表示させることもできます。
チャートソフトごとにコントロール部分が違うので、
若干の違いはありますが、基本的には近い操作方法になると思います。
期間設定方法解説
移動平均線の期間設定には「短期」「中期」「長期」の区分けがあり、
同時に全て表示させることもあれば、
短期移動平均線のみを表示させるトレーダーもいたり、
長期線のみを表示させてスイングトレードに使用するトレーダーもいます。
どのくらいのスパンでトレードしていくかや、
トレードスタイルに合わせて採用していきます。
主に使われる期間線の目安は以下です。
- 短期移動平均線:10MA、13MA、21MA、20MA、など
- 中期移動平均線:50MA、75MA、など
- 長期移動平均線:100MA、200MA、など
これらの期間設定に特別な決まりはなく、
自分のトレードスタイルにあわせてチャート検証しながら採用を決めていきます。
また、
この期間数には、フィボナッチナンバーの数が使われることが多いです。
以下の記事で移動平均線の表示設定おすすめを解説しています。
参照:FXでの移動平均線(Moving Average・MA)おすすめ設定まとめ解説
移動平均線(Moving Average)使い方解説
移動平均線(MA)は相場の環境認識に役立てて
トレードの指針のひとつとして利用していきます。
以下のような部分などを移動平均線の状況から判断していきます。
- トレンド状況の判断
- ボラティリティ状況の判断
- 価格の抵抗線としてMAを使う
MAの向きや角度でトレンド状況の判断に利用していきます。
MAの角度が急なほど、値動きの幅も大きい傾向にあります。
特にMAの傾斜があるトレンド状況では、MA自体が抵抗線として機能しやすいです。
相場状況の環境認識のみならず、MA自体の絡み具合や関係性を見て、
ゴールデンクロスやデッドクロスでのトレードロジック、
グランビルの8つの法則からのトレードロジック、
短期、中期、長期の3本のMAがからまらずキレイの並んだ時のパーフェクトオーダー、
MAを抵抗性として価格が当たったところからのプライスアクション等、
様々な手法で移動平均線をトレードに活用することができます。
ゴールデンクロスとデッドクロス
短期MAが中長期MAを下から上に抜けていく形は、
「ゴールデンクロス」と呼ばれて価格上昇のサインのひとつです。
以下のチャート画像はゴールデンクロスのキレイな様子です。
ゴールデンクロス形成後、更に高値切り上げを見て買いエントリーしても、
充分に利益がだせるくらいの上昇幅をみせています。
また反対に、短期MAが中長期MAを上から下抜ける時に、
「デッドクロス」と呼ばれて価格が下落していくサインとなります。
以下のチャート画像はデッドクロスのキレイな様子です。
デッドクロス後、価格は一度反発上昇していますが、
価格は高値更新できずサポレジ転換でレジスタンスラインに阻まれて、
(中期50MAも意識して)一気に急降下していっているのがわかります。
ゴールデンクロス、デッドクロスは強いサインになりますが、
サイン確定するのは価格の動き次第となり、当然だましになる時もあります。
参照:移動平均線ゴールデンクロス・デッドクロスのトレードロジック手法解説
パーフェクトオーダー
短期・中期・長期のMAが絡むことなく形成し、
相場が一方向にむけてトレンドを作っている状態を「パーフェクトオーダー」と呼びます。
以下はパーフェクトオーダーのチャート例です。
20MA、50MA、100MAの3本のMAが絡むことなく上昇トレンドを形成しています。
途中一旦下落し、短期20MAも中期50MAに近づきますが、
価格は明確に下抜けできずに再上昇しています。
パーフェクトオーダー形成時には、トレンド方向へのトレードは高い勝率が見込めます。
参照:パーフェクトオーダーとは?移動平均線勝てるトレード手法解説
トレードロジックとあわせてMAを使う
チャート上でMAを抵抗線としてチャートパターンをあわせてトレードに使うこともあります。
グランビルの8つの法則は、移動平均線を使用したトレードロジックです。
以下の画像は、グランビルの法則2番でのエントリーパターンです。
レジサポ転換したライン付近で、MAを抵抗線として価格が反発しているのがわかります。
MAのみで反発を予想するのではなく、
レジスタンスライン、サポートラインやトレンドラインを認識しておき、
複数の根拠を元に価格変動を待ち構えていき、
価格が重要な節目をつけて動いた事実を持ってトレードしていきます。
移動平均線の使い方まとめ
移動平均線は最もポピュラーなテクニカルインジケーターであり、
世界中のトレーダーに注目されているラインでもあります。
多くのトレーダーに注目されているということは、
それだけテクニカルポイントに信憑性と重要度が高まり、
意識されやすいテクニカルになる傾向があります。
チャートをしっかりと検証して移動平均線が効いている場所を認識していくと、
トレードのエントリー根拠が上昇し、
勝率も更に見込めるようになると思います。
移動平均線を活用したFX教材まとめ
移動平均線をマスターするのに特に参考になるFX教材は以下になります。
- マエストロFX
- グランドセオリーFX
- 無限FXpro
トータル的に裁量トレードスキルを向上させるFX教材ですが、
移動平均線は基本的なインジケーターとして特に「トレンド判断」部分を重視して理解できます。
MA短期期間設定でのケーススタディが豊富に見れるFX教材。
グランドセオリーFXは、近年で最高クオリティのFX教材と言えます。
相場の環境認識を主軸にして、移動平均線のみを表示させてトレードするスタイルのFX教材。
作者のFXB氏はかなりのベテラントレーダーで、FX講師としても定評があります。
コメント
移動平均線を表示させておくことで、価格の推移のクセも把握しやすくなると思います。
できれば3本(短期・中期・長期)と表示させておくと、良いんじゃないかと個人的には思ってます。
僕は短期2本で4本表示させてますが…
移動平均線の表示は、いったん「これでやる!」と決めた設定を基本的には変えずに使い続けるのが良いと思います。
相場を見る視点が一定化されていくからです。
それには、王道的で多くのトレーダーが使用している移動平均線の設定を使うのがおすすめです。
移動平均線の使い方として、個人的にはトレード方針の決定に使っています。
いわゆる、環境認識・相場分析の部分。
環境認識で使う日足、4時間足の21MA(ミドルライン)に傾きがあってトレンド状態で、
21MAの上に価格があれば、
トレンドフォローでは買い目線でのトレードを検討。
21MAに傾きがあって下に価格があれば売り目線。
逆に、
環境認識で使う日足、4時間足において、
21MAが横ばいでレンジ気味と判断できる相場状況だと、
レンジ上下限のラインからの短期反転逆張り狙いを検討していきます。
(レンジ相場でのBOX逆張り手法は、値幅が取れれば検討します。)
自分が環境認識で使う長期足での判断で、
21MA(ミドルライン、20MAを使う人が多いと思います)の状態は、
多くの市場参加者が見てる部分だと思いますので、
判断材料として使いやすいと思います。
21MA(多くの場合は20MA、僕は21を採用中)をベースにトレンド状態を判断していく。
21MAに傾きがあり、価格が下ならダウントレンドの可能性、上からアップトレンドの可能性。
そこに、
長期MAの傾き場所、チャート形状、雲との位置、などを加味して相場分析していく。