テクニカルインジケーターの一目均衡表(いちもくきんこうひょう)は、
日本の株式評論家である細田悟一氏によって、
1936年に考案されたテクニカルインジケーター・チャート分析法です。
一目均衡表(いちもくきんこうひょう)の名称は、
細田悟一氏が当時使用していたペンネーム「一目山人(いちもくさんじん)」に由来。
一目均衡表のテクニカルは、「為替相場は時間による影響を受ける」を前提として、
「転換線」「基準線」「雲」「遅行線」から成り立つテクニカルです。
様々な要素をチャート上に表示させる豪華な視覚的インジケーターで、
これ一発でチャート状況を判断し得るやり手の和製テクニカルです。
一目均衡表は様々な要素を複合的に活用しているテクニカルなので、
全体的だけでなく部分的にもトレーダーに使われています。
見た目で抵抗値がわかる「雲」の存在と、
3つのラインによって一目均衡表のみでトレードできる強力テクニカルです。
一目均衡表の見方と設定方法
一目均衡表は、どちらかというと複雑な見た目になります。
一目均衡表をMeta Trader4(MT4)に表示させたチャート画像は以下です。
上記のチャート画像は、MT4でのデフォルト設定で表示させた状態です。
1つのテクニカルインジケーターでチャート上に複数の線と雲が表示されるので、
一目均衡表を表示させる時はしっかりと役割を理解していきたいところです。
以下はMT4で表示させた時のそれぞれのライン名称です。(クリックで拡大できます)
一目均衡表の各種ライン色や雲の色(先行スパンの線色)も、MT4の設定で変更できます。
「雲(上昇)」がいわゆる先行スパン1、「雲(下降)」がいわゆる先行スパン2に当たります。
それぞれのラインの算出方法は、以下の計算式になります。
- 転換線:当日を含む過去9日間の最高値と最安値の平均値
- 基準線:当日を含む過去26日間の最高値と最安値の平均値
- 先行スパン1(雲上昇):基準線と転換線の中間値を当日含む26日先に記入
- 先行スパン2(雲下降):52日間の最高値と最安値の平均値を当日含む26日先に記入
- 抵抗帯(雲):先行スパン1と先行スパン2の間の空間面積
- 遅行スパン:当日の終値を当日含む26日前に記入
これまでの価格の推移は今後の値動きに影響を与える、という考え方から、
52日間前までさかのぼって平均値を出していき、
相場の抵抗地帯を「雲」として表示させて、
今後の値動きの参考にすることができます。
基準線、転換線、遅行スパンも、それぞれ価格(ロウソク足等)と組み合わせることで、
移動平均線のようにトレンド状況やトレンド転換タイミングを測ることができます。
一目均衡表の雲
一目均衡表の「雲」は、
それ自体が相場の抵抗地帯(レジスタンス・サポート)として機能することが多いサインで、
見た目のわかりやすさからか多くのトレーダーが使用しています。
以下画像は雲の線を灰色にしてみたMT4チャート画像です。
雲を下抜けるとダウントレンド状況と判断しやすい材料になりますが、
雲の下辺(先行スパン2(雲下降))が抵抗となり再上昇できずに
暫く低ボラティリティのレンジ状況を形成しているのがわかります。
「雲」そのものが価格の抵抗地帯になりますし、
雲の中に価格が入ってしまうと、揉み合いになりやすい傾向もあります。
また、雲を明確に上抜けると暫く下降しにくい傾向もあり、
その逆に、雲を明確に下抜けると暫く上昇しにくい傾向もあります。
(あくまで傾向となります)
ダウ理論、レジスタンス・サポートライン(水平線)や、トレンドライン、
ボリンジャーバンド等と組み合わせて使うことで、
より明確なトレンド方向を判断する材料とできます。
一目均衡表の設定例
一目均衡表はMT4の場合はデフォルト設定でも上記のような表示になります。
2つの先行スパンを示す色表示を変えて、雲を目立たせるのであれば、
以下の赤丸部分の色と線種(太さ)等を変更することができます。
また、基準線、転換線などのパラメーターを変更することもできます。
基本的には多くのトレーダーが注目しているデフォルト設定のままでいいと思います。
一目均衡表のトレードでの使い方
移動平均線などのシンプルなテクニカルと比べると、
比較的練られて単体で成立している印象がある一目均衡表。
実際のトレードでは、以下のようなトレードルールを想定することができます。
- 転換線、基準線の向きが右肩上がりだと上昇トレンド
- 転換線、基準線の向きが右肩下がりだと下降トレンド
- 転換線が基準線を下から上に突き抜けたら上昇サイン
- 転換線が基準線を上から下に突き抜けたら下降サイン
- 遅行線が価格を下から上に突き抜けたら上昇サイン
- 遅行線が価格を上から下に突き抜けたら下降サイン
- 雲の上にロウソク足があれば上昇トレンド
- 雲の下にロウソク足があれば下降トレンド
- 雲の中にロウソク足があれば揉み合いかつトレンド転換の可能性
転換線と基準線の向きは、相場状況のトレンドを表している要素になります。
より最新の値である転換線が中期に当たる基準線を上抜けたら
上昇サインとしてのゴールデンクロス的な判断ができます。
より最新の値である転換線が中期に当たる基準線を下抜けたら
下降サインとしてのデッドクロス的な判断ができます。
過去の値動きを反映する遅行線が価格を上抜けしたら、上昇トレンドのサイン
過去の値動きを反映する遅行線が価格を下抜けしたら、下降トレンドのサイン
雲は価格の抵抗地帯となり、相場状況の買いと売りの勢力状況も表します。
雲の厚いところはより強い抵抗となり、薄いところは弱い抵抗とされています。
一目均衡表のサインも当然ながら万能ではなく、
ロウソク足のプライスアクション等その他の要素と組み合わせていき、
トレード根拠のひとつとして使用していきます。
一目均衡表を使用するにあたって
多くのFX裁量トレーダーが移動平均線からテクニカルを知ることが多く、
一目均衡表のような複合型のテクニカルは後回しにされがちです。
そんな中、雲という視覚的にもわかりやすい要素が重宝され、
チャート上に表示されることが多い一目均衡表ですが、
実際のトレードで使用する際には、しっかりと先に検証していき、
転換線、基準線、遅行スパンのチャート上での意味を理解しておきたいところです。
単純移動平均線と違い、よりサイン精度が期待できる部分もあるので、
しっかりとシグナルの意味を理解して使用すると
トレードになかなか効果的な使用ができるテクニカルと言えるでしょう。
一目均衡表をマスターするのに適したFX教材
- グランドセオリーFX
- マエストロFX
グランドセオリーFXの作者らいく氏は、雲を注目してトレードしている一人です。
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コメント
ナオトさん
お世話になります。
いつもメルマガありがとうございます。HPも濃い内容で全てはまだ見切れていませんが、参考になります。
ところで、ひとつ教えて頂けませんか。
いまマーフィーのスパンモデルで相場の分析をすることがあるのですが、エントリや損切りのタイミングや相場の転換などが分かりずらい、遅いと感じていて、一目均衡表の転換線、基準線も併用しています。(雲、遅行線はスパンモデルのままです)。
それならいっそのこと、一目均衡表を使ったほうがよいのでは? と思っています。
30分足、1時間足、4時間足で相場分析、エントリエグジットのタイミングを計る場合、一目均衡表は優れているとお考えでしょうか?
また、もしもスパンモデルの使用経験がおありでしたら、比較したコメントも頂ければ幸いです。
よろしくお願いします。
山田さん、コメントありがとうございます。
マーフィーのスパンモデルというものの存在は知ってるのですが、僕は使ったことがないですねー。すいません。
一目均衡表は、とてもいいテクニカルだと思います。
なんらかのトレードロジック(ルール)を決めて使っていかれるといいかと思いますよ。
漠然としてて恐縮ながら、そんな感じで思ってます。
一目均衡表の解説記事を書いてきたのですが、僕自身は「雲」の抵抗帯くらいしか普段のトレードでは見て無いです。
その代わりに、移動平均線、ボリンジャーバンド等で相場状況を分析しています。
相場分析した後にトレード判断としては、ロウソク足のプライスアクションでのトレード判断が多いです。
自分が見やすい、使いやすいテクニカルを組み合わせていくことで、相場を見る視点が一定化できていくと思います。
一目均衡表は色々な要素があるテクニカル指標ですが、自分が使いやすいように使っていかれてください。