「仲値(なかね)」とは、
各金融機関が外国為替取引をする際の基準となるレートを指します。
ドル円の仲値は毎朝9時55分の為替レートを参考に決定されます。
(金融機関ごとにそれぞれ決定されます。金融機関ごとに差異がある場合もあります。)
ドル円以外の仲値は10時に決定されます。
海外旅行に行く時などに使用する「日本円を外貨に両替するときのレート」と、
「外貨を日本円に戻すときのレート」の開き部分の中間になるのが仲値です。
企業は仲値を基準として外貨を日本円に両替していきます。
(実需取引)
企業が輸出入や海外生産する場合の決済などに使われ、
仲値価格が大きな影響を与えます。
仲値は、TTM(Telegraphic Transfer Middle Rate)とも言われます。
- 仲値に手数料を足したレートがTTS(Telegraphic Transfer Selling Rate)という名称
- 仲値から手数料を引いたレートがTTB(Telegraphic Transfer Buying Rate)という名称
- TTSとTTBの中間が仲値(TTM)
(金融機関が顧客に外貨を売る際のレート・電信売り)
(金融機関が顧客から外貨を買う際のレート・電信買い)
TTSとTTBの価格差はスプレッドと呼ばれる。
その日の仲値確認方法
その日の仲値及びTTS・TTBは、各種金融機関公式WEBサイト等で公表されています。
参照:みずほ銀行の外国為替公示相場ページ
参照:三井住友信託銀行のマーケット情報
(仲値及びTTS、TTBは金融機関ごとにそれぞれ決定されます。差異はあります。)
金融機関はそれぞれ公表したレートを用いて両替を行います。
仲値が決定されていく為替相場の仕組み
仲値が決定されていく仕組みは、以下の流れとなります。
- 9時30分くらいまで:取引企業が銀行に仲値取引を事前に依頼
- 9時45分頃から9時55分頃:各銀行ディーラーがカバー取引
- 9時55分:仲値発表
- 9時55分以降:通常の為替相場に徐々に戻っていく
その銀行と取引している企業がその日発表される仲値での実需取引を銀行側に依頼します。
輸入企業は資源を購入するためにドルを仲値で買う依頼を銀行に出していく。
企業より依頼があった取引状況を基に、銀行ディーラーが外貨を取引します。
(カバー取引。銀行で足りない分のドル等外貨を購入する。)
銀行と輸出入企業は、仲値の価格で取引していきます。
企業はドルに両替することが多く、銀行としては仲値公示前にドルを安く買っておくことで利益にしたいわけです。
仲値決定時間前後の為替相場傾向
仲値が決まる前の9時から9時55分の間は、
ドル円の場合だと価格が上昇する傾向が見られることがあります。
これは、仲値が決まる前に銀行が安くドルを買っておこうとする動きからです。
(銀行によるカバー取引)
銀行としてはなるべく安くドルを買って有利に対企業取引がしたいので、
その日の仲値を上げるために仲値前にドルを買うので、
ドル円の為替相場が値上がりする動きを見せます。
これらの傾向は、特に「ゴトー日」の場合によくみられます。
仲値とゴトー日
仲値は、ゴトー日と関係が深いです。
「ゴトー日」とは、
その名のとおり5と10がつく日を指します。
(5日、10日、15日、20日、25日、30日)
月末が28日や31日になる場合は、
その日も特徴的な値動きとなりやすい傾向があります。
ゴトー日は、日本の商いの「ご縁:5円」のゲン担ぎからきている一説もあり、
給料支払い日やクレジットの支払い期日が
5日、10日、15日、20日、25日だったり、
決済日として使用されやすい日時です。
各種大手企業(輸出入企業)と銀行間の支払い決済日が「ゴトー日」になっていることも多く、
大手企業の大口決済が集中して行われる日になるので、
為替相場に影響大きくなりやすい傾向です。
ドルを莫大に両替する輸入企業に向けに銀行は、
ドルを前もって買っておく傾向もあります。
金曜も動きやすい
週末となる金曜も決済日とされることが多いです。
ゴトー日及び金曜だと、特に値動きが多い傾向とされています。
FXにおいて仲値で意識すべきポイント
仲値公示の9時55までの1時間くらいは、
ドル円及びクロス円の値動きが一方向になる場合が多いです。
(海外から商品を輸入する際に、ドル払いとなるから。)
その為、
ドル円及びクロス円が仲値に向けて価格上昇していく傾向がでています。
反対に日本の輸出企業は、
商品を海外に売って得たドルを円に交換しますが、
これはドル高の時を待って一気に円に交換することが多いです。
(1週間単位でドル高を待つくらいの期間となります。)
円に対してドルは毎日仲値に向けて買われる傾向で、
円に対してドルが売られる時は一気に売られる傾向、となります。
仲値公示前後の時間は、上記の理由からドル円・クロス円の上昇傾向が起こりやすいわけです。
また、
仲値公示の9時55分頃から、それまでの方向と反転する場合も多い。
仲値発表の9時55分の前後は、注意が必要です。
仲値を利用したFXトレード手法
仲値を利用したトレードは、ドル円でのトレードが基本となります。
仲値を利用したトレード手法としては、
仲値決定の9時55分までの「ドル買いによる価格上昇傾向を利用したトレード」が代表的です。
仲値に向けたトレードは、
ゴトー日だとより動きが明確になる傾向があるとされています。
以下、そのトレード手法概要です。
- 朝9時頃から9時55分まで:ドル円の上昇に合わせて買い
- 9時55分に仲値公示:ドル買い強い時間
- 9時55分より10時30分頃まで:仲値決定後、相場の高値確定後に下降傾向
銀行が仲値公示前にドル円を安いうちに買ってきます。
仲値決定後に輸入企業が資源購入の為、ドルを買うことがわかっているから。
公示仲値が銀行が事前に買ったドル円価格よりも高い場合、為替差異は銀行利益となるからです。
仲値公示により取引が多い時間帯。為替相場の動きも大きい。
特にゴトー日は、銀行と企業の取引が多く相場の動きも激しくなる傾向。
仲値公示後の上昇が終わったら、下降していく傾向となります。
そこからの相場状況は、その時々によって変わってきます。
仲値を意識したトレードをする際に、
ファンダメンタル要素や強いイベント等がある場合には、そちらを優先するのが無難です。
2022年6月17日のドル円5分足チャート画像です。(画像クリックで拡大)
仲値にかけてドル円がグングンあげてきて、9時55分頃に押し目の下げが始まっています。
(ドル円の長期足的には、かなりの強いアップトレンド中)
以下、2022年7月25日のドル円5分足チャート画像。
上記もわかりやすく仲値前にドル円が上昇して、仲値後に下げています。
25日なのでゴトー日ですし。
仲値トレードがうまくはまった個所になります。
また、
この仲値前後の値動き傾向は、
仮にゴトー日だとしても毎回起こるわけではありません。
仲値は為替相場の一要素として認識していきましょう。
仲値とゴトー日の傾向をデータ化したコンテンツ
仲値に向けたドル円・クロス円の値動きで、
ゴトー日及び金曜日とその他の曜日の動きを集計してデータ化したコンテンツがあります。
以下は、そのデータ元画像です。(画像クリックで拡大)
引用:【神回】FXプロ×茨城大学教授 仲値トレードの神髄に迫る!
(ヒロセ通商の公式You tubeチャンネルでの特集動画となります。)
通常の曜日よりも「ゴトウ日」「金曜日」が仲値に向けてのドル円上昇傾向が強く、
「ゴトウ日かつ金曜日」だと最もその傾向が強いとデータになっています。
参考までに。
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